歯が生えること(歯ぐずり)は、いろいろなことの犯人にされます。眠れない夜、機嫌の悪い午後、鼻水、ゆるいうんち。そのうちのいくつかは、たしかにそうです。でもいくつかは、まったく別の原因の手柄を歯が横取りしているだけ。その違いがわかると、心配がずいぶん減ります。

いつから始まるか

歯が生え始めるのは、生後6か月ごろが多いです。 それが平均で、その前後の幅はかなり広いものです。

  • 生まれたときから歯がある赤ちゃんも、少しですがいます
  • 生後4か月前に生え始める子もいます
  • 1歳の誕生日を過ぎてから1本目が出てくる子もいます

どれもふつうのことです。1本目が遅いということだけなら、心配することはまずありません。1歳の誕生日をかなり過ぎても1本も生えていない場合は、保健師さんや歯科医に伝えてみてください。ただ、それまでは気をもむ必要はありません。

順番としては、下の前歯からが多く、次に上の前歯、そのあと残りが1〜2年かけて生えてきます。ほとんどの子は2歳半ごろまでに20本の乳歯がそろいます。

歯が生えるときの、本当のサイン

よくあるサインはこんなものです。

  • 歯が出てこようとしているところの歯ぐきが赤い、痛そう、腫れている
  • よだれがいつもより増える。そのせいであごに湿疹が出ることもあります
  • 片方の頬だけ赤くなる
  • 手やおもちゃ、何でも噛んだりかじったりする
  • 歯が生えかけている側と同じ耳をこする
  • いつもより落ち着かず、甘えてくる。眠りが悪くなることもあります

ほとんど全部が出る赤ちゃんもいます。まったく騒ぎもせずに歯が出てきて、生えたのを見て初めて気づく、という子もいます。

歯が生えても起きないこと

ここは正しく押さえておきたいところです。歯が生えることで高い熱が出ることはありませんし、下痢になることもありません。 ほんのり体が温かくなることはありますが、38度以上の発熱、下痢、あるいは本当に具合が悪そうな様子は、それ自体として診てもらう必要があります。とくに月齢の低い赤ちゃんでは大切です。歯のせいにしてしまうと、中耳炎やお腹の感染症を見落とすことがあります。

楽になること

冷やす。凍らせない。 冷蔵庫で冷やした歯がためは、噛むと気持ちよく感じられます。凍らせたものは硬すぎて、歯ぐきを傷めることがあります。

押す。 清潔な指で痛そうな歯ぐきをやさしくさすってあげると、思っているよりずっと多くの赤ちゃんが落ち着きます。

かじれるもの。 離乳食が始まっているなら、冷やしたきゅうりやパンの耳のような、冷たくて安全な手づかみ食べのものが、噛む相手になってくれます。必ずそばで見ていてください。

よだれを拭く。 あごを乾いた状態に保つと、よだれによる湿疹を防げます。

本当に痛いときは、痛み止めを。 はっきり痛そうにしているなら、無糖のアセトアミノフェン(生後2か月から)やイブプロフェン(生後3か月から。体重が足りていて、その薬が使える場合)を、その月齢に合ったパッケージ記載の用量で使って大丈夫です。しんどい夜を乗り切るために使うのは、まったく問題ありません。何が合っているか迷うときは薬剤師に相談してください。

避けたいこと

琥珀(こはく)の歯がためネックレスやブレスレット。 どこでも売られていますが、米国FDAなどの保健当局は、首が締まる危険と誤飲・窒息の危険があるとして使わないよう警告しています。痛みに効くという確かな根拠もありません。

ベンゾカイン入りの麻酔ジェル。 小さな子どもには推奨されていません。歯がため用のジェルを試したいなら、その子の月齢に合うものを薬剤師に選んでもらってください。

ホメオパシーの歯ぐずり用製品。 効くという確かな根拠はなく、安全性に問題が出たものもあります。

双子では、歯がそろって生えることはめったにありません

一卵性の双子でも、歯が生える時期が数週間ずれることはよくあります。片方に4本生えていて、もう片方はまだ1本もない、ということもふつうにありますし、それがどちらの子の発育について何かを意味することもありません。

実際に困るのは、しんどい夜が必ずふたり共通の歯ぐずりの夜ではない、ということです。片方の歯が生えかけていて、もう片方は単に起こされているだけ、というのはかなりよくあります。ふたりとも落ち着かないときは、両方に薬を使う前に、どちらの歯ぐきが本当に痛そうなのかを確かめてみてください。そして、どちらの子がしんどい夜だったかをメモしておくと、数週間のうちにパターンが見えてきます。

生えてきた歯のお手入れ

最初の歯が出てきたら、すぐに歯みがきを始めましょう。 赤ちゃん用の歯ブラシに、フッ素入り歯みがき粉をごく少量つけて、1日2回。甘い飲みものやおやつは最小限にして、ミルクやジュースの入った哺乳瓶を持たせたまま寝かせないようにしてください。ご自身の歯科の予約に一緒に連れて行くのは、必要になる前に歯医者さんに慣れてもらういちばん簡単な方法です。